複数人運用でつまずくのは、機能ではなく「決めていないこと」
1人で回しているうちは、返信の順番も対応状況も頭の中にあります。ところが担当者が2人、3人と増えた途端に、同じ問い合わせに2人が返信する、誰も返信しないまま夜が明ける、といった事故が起き始めます。原因の多くは機能不足ではなく、権限・端末・担当分けの3点を決めないまま人を増やしたことにあります。
本記事では、LINEヤフーが公開するマニュアル・お知らせ・学習コンテンツで確認できる仕様を土台に、小規模事業者がチームで回すときの設計を整理します。
この記事の目次
- 1. 前提の確認:何人まで、何台まで使えるのか
- 2. 権限は4種類 — 誰にどれを渡すか
- 3. メンバー追加の手順と、そこで詰まる理由
- 4. 複数端末で回すときに効いてくる仕様
- 5. 担当分けの設計 — 担当者・ステータス・タグ
- 6. チームで先に決めておく6項目
- 7. 権限の棚卸しは個人情報保護法の宿題
- 8. LINE公式アカウント単体で足りなくなる場面
- 主な参考情報
- よくある質問
前提の確認:何人まで、何台まで使えるのか
LINEヤフーの「権限設定」マニュアルには、権限の種類を問わず1アカウントに対して100人までメンバーを登録できること、1人のユーザーが管理できるアカウントは100個までであることが明記されています。数人規模の事業者が人数上限を気にする場面は、まずありません。
端末にも制限はありません。公式コラムでは、複数の端末から同時にログインできるとしたうえで、本部の社員が管理画面でメッセージを作成している間に、店舗の社員が同じアカウントにログインして顧客対応を行える例が挙げられています。Web版管理画面(PC)と管理アプリ(App)のどちらからでも権限管理ができます。障害になるのは人数や端末ではなく、権限の割り当てと担当分けです。
権限は4種類 — 誰にどれを渡すか
LINEヤフーの公式学習コンテンツ(LINEヤフーマーケティングキャンパス)では、権限は「管理者」「運用担当者」「運用担当者(配信権限なし)」「運用担当者(分析の閲覧権限なし)」の4種類と説明されています。
| 権限 | 使える範囲 | 公式が挙げる想定 |
|---|---|---|
| 管理者 | メンバーの追加や権限の変更を行う「メンバー管理」を含むすべての機能 | アカウントを統括する本社の社員、店長、運用リーダー |
| 運用担当者 | メンバー管理以外のすべての機能 | 実際に運用する現場スタッフ |
| 運用担当者(配信権限なし) | メッセージ配信・LINE VOOMの投稿・メンバー管理が使えない | 配信は行わないが、友だち数の推移や配信結果の分析を担当するメンバー |
| 運用担当者(分析の閲覧権限なし) | 「分析」ページの閲覧とメンバー管理に制限がある | 運用を外部に委託しつつ、配信結果などの実数値は見せたくない場合 |
迷いやすいのは管理者の人数です。管理者を1人に絞ると、その人が長期不在や退職になった瞬間にメンバーの追加も削除もできなくなります。逆に全員を管理者にすると、誰でも他のメンバーの権限を変更・削除できます。代表者と実務責任者の2名程度を管理者に、現場は運用担当者に、外部の制作会社や運用代行には用途に応じて配信権限なし・分析の閲覧権限なしを、という組み方が扱いやすいところです。なお複数アカウントを「グループ」でまとめる場合、グループ側にも同様に4区分の権限があります(グループのメンバー登録は50人まで)。
メンバー追加の手順と、そこで詰まる理由
手順は短いものです。管理者が「設定」>「権限管理」を開き、「メンバーの追加」から「URLを発行」を選び、認証用URLをメールなどで相手に共有します。すでに権限を持つメンバーは、リストの「変更」から権限の種類を変えられます(管理アプリは「設定」>「権限」)。
つまずくのは、公式マニュアルが明記している認証用URLの制約です。
- ✓認証用URLは発行から24時間で失効する
金曜の夕方に発行して相手が月曜に開く、という進め方は成立しません。 - ✓1回の発行につき1人のみ有効で、使い回しはできない
スタッフ3人ならURLの発行も3回。1本のURLをグループトークに流して全員に踏ませることはできません。 - ✓追加される側も、LINEログインのためのメールアドレス設定が必要
普段QRコードや電話番号でしかLINEを使っていないスタッフは、ここで止まります。招待前に設定を依頼しておきます。
ログインIDをどちらで作るかを先に決める
開設マニュアルでは、ビジネスIDの登録方法として「LINEアカウントで登録」と「メールアドレスで登録」の2通りが示されています。前者は個人のLINEアカウントでログインする方式、後者はメールアドレスとパスワードでログインする方式で、どちらでも管理画面は使えます。
ただし複数人運用では、この選択が後の管理コストに効きます。個人のLINEアカウント連携で権限を配ると、権限リストに並ぶのは個人アカウントです。誰がどれかをメモしておかないと、退職・異動のたびに突き合わせが発生します。会社のメールアドレスで作成したビジネスIDに揃えておけば、入退社時のメールアドレス管理と権限の棚卸しを同じ台帳で回せます。なお2025年6月25日よりアカウント作成時にビジネスマネージャー組織との接続が必須になり、「LINEビジネスID」は2025年6月30日より「ビジネスID」になりました。
LINEとメールの問い合わせを、1画面でチーム共有する
RenRakuは、LINE公式アカウントとメールに届いた問い合わせを1つの画面に集約し、対応状況をチーム全員で共有できる顧客対応SaaSです。カラータグと未返信ステータスで対応漏れを可視化し、ルーム振り分けで担当を分け、顧客カードに履歴とメモを残せます(ルーム振り分け・担当アサインはスタンダード以上)。14日間無料・クレジットカード不要でお試しいただけます。
> RenRaku を見る複数端末で回すときに効いてくる仕様
複数の人が同じチャットを開いている状態で効いてくる、公式マニュアル記載の仕様を挙げます。
- 未読を保ったままプレビューできる:チャットリストで該当ルームにカーソルを近づけ、[︙]からメニューを開くと、既読にせず未読バッジを残したまま受信メッセージを確認できます。マニュアルにも「管理者が複数人の場合にご活用ください」とあり、複数人運用を前提にした機能です。
- 入力中のユーザー名が表示される:別のユーザーが入力している場合、入力中であることと入力しているユーザー名が表示されます。二重返信を手前で止められる、最も実用的な表示です。
- 送信取り消しは24時間以内:送信から24時間以内であれば管理画面上で取り消せます。翌々日に気づいても取り消せません。
- 予約メッセージは同時に50件まで:加えて[設定]>[応答設定]の[チャット]がオフの場合、予約したメッセージは送信されません。
- 一時的な手動チャットは1時間で自動終了:応答メッセージで対応している時間帯に切り替えた場合、1時間で終了します。「手動チャットを延長」で最長7日間まで延長できます。
もう1つ見落とされがちなのが、友だち追加をしていないユーザーの場合、最終受信日時から7日以内のみ返信が可能という制約です。返信が担当者間でたらい回しになると、返信できる期間そのものを失います。
担当分けの設計 — 担当者・ステータス・タグ
LINEヤフーは2023年6月7日のお知らせで、チャットルームごとに担当者を割り当てられる機能を案内しています。担当者として設定されたチャットのみを絞り込んで表示でき、複数の管理者で運用する場合に対応状況を明確にする用途が示されています。
担当者は「黙っていると勝手に決まる」
チャットマニュアルには重要な一文があります。担当者が設定されていない状態では、最初にチャットを送信したメンバーが担当者として設定されるというものです。手が空いていたスタッフが軽い気持ちで一言返信すると、そのスタッフが担当者になります。方針を決めていないと「返信したつもりが担当を持たされた」という認識のずれが起きるため、割り当ててから返信するのか、最初に返信した人が担当を持つのか、どちらかに統一しておきます(設定済みの担当者はえんぴつマークから編集できます)。
チャットリストの絞り込みを対応フローに合わせる
チャットリストの表示は「すべて」「受信」「未読」「要対応」「対応済み」「カスタムフィルター」「担当」「スパム」から選べます。「担当」は自分が担当者に設定されたチャットルーム、カスタムフィルターはチャットProオプションを購入済みの場合のみ利用できます。チャット画面の「要対応」「対応済み」ボタンを押すとリストの該当タブに移動するので、この2つを押すタイミングをそろえることが、返信漏れを防ぐ一番安いやり方です。
無料の範囲で使えるタグとノートの上限
| 項目 | 無料の範囲 | チャットProオプション |
|---|---|---|
| 作成できるタグの種類 | 最大5個 | 最大300個 |
| 1チャットルームにつけられるタグ | 1個まで | 最大30個 |
| 1チャットルームのノート | 1件まで | 最大1,000件 |
| チャット履歴のCSVバックアップ | — | 直近5年分・1週間に1度まで |
この表の右列はチャットProオプション(月額3,000円・税別)を購入した場合の上限です。2025年3月から提供されている有料オプションで、LINE公式アカウントの管理画面から購入できます。タグやノートの上限に困っているだけであれば、まずこの月3,000円で解決するかを確認するのが順序です。
無料の範囲に限れば、タグの種類が5個までということは、「新規」「見積提出済」「予約済」「フォロー中」「対応終了」で埋まるということです。語彙は最初に5つ決めて増やさない前提で設計します。ノートも1チャットルーム1件なので、経緯を追記する使い方には向きません。
あわせて設定したいのが応答時間です。チャット設定では曜日ごとに設定でき、祝日の設定はアカウントの国・地域に基づきます。応答設定でトークルームに応答状況を表示すると、手動チャットなら「担当者が返信します」、応答時間外で利用中の応答メッセージがない場合は「現在は応答時間外です」と自動で切り替わります。全員が退勤したあとに「担当者が返信します」と出続ける状態は、初期設定で避けられます。
チームで先に決めておく6項目
人を増やす前に文章にしておきたい項目です。どれも1行で書けて、決めていないと事故になります。
- Rule1管理者は誰と誰か1人だけにしない。管理者不在でメンバーの追加・削除が止まる状態を作らない
- Rule2一次受けは誰か時間帯や曜日で分ける。友だち未追加ユーザーへの返信期限(最終受信から7日以内)を落とさない
- Rule3担当者を設定するタイミング返信前に割り当てるか、最初に返信した人が担当になる挙動をそのまま使うかを統一する
- Rule4「要対応」「対応済み」を押す基準押し忘れると絞り込みが機能しない。返信直後か案件完了時かを決める
- Rule5タグの語彙5つ無料の範囲では作成できるタグは最大5種類。増やせない前提で最初に決め切る
- Rule6退職・異動時の権限削除フロー誰が、いつまでに、どのメニューで外すか。退職手続きのチェックリストに入れる
権限の棚卸しは個人情報保護法の宿題でもある
チャットには氏名・連絡先・相談内容といった個人情報が蓄積します。個人情報取扱事業者には、個人情報保護法第23条で安全管理措置が、第24条で従業者の監督が、第25条で委託先の監督が義務づけられており、個人情報保護委員会のガイドライン(通則編)では、講ずべき安全管理措置として組織的・人的・物理的・技術的の4区分が示されています。
複数人で運用するということは、この4区分が実際に問われる状態になるということです。誰にどの権限を与えたかの記録(組織的)、スタッフへの取扱いルールの周知(人的)、管理アプリを入れた端末の管理(物理的)、退職者の権限削除(技術的)が、そのまま実務になります。運用代行会社など外部に権限を渡す場合は第25条の対象になり、権限区分は渡す範囲を絞る手段としても使えます。個別の判断が必要な場合は専門家にご確認ください。
LINE公式アカウント単体で足りなくなる場面
複数人運用の機能はひととおり揃っています。それでも、事業が動き出すと次の場面で足りなくなります。
- 問い合わせがLINEだけではない:同じお客様からLINEにもメールにも連絡が来ると、対応履歴が2か所に分かれ、突き合わせる時間が人数分だけ増えます。
- 顧客情報を書き残す場所が要る:無料の範囲ではタグは1チャットルームに1個、ノートは1件までです。ここはチャットProオプション(月額3,000円・税別)でタグ30個・ノート1,000件まで広がるため、LINEの中で完結する話であれば有料オプションで解決します。
- 社内の相談は別チャネルになる:「この件どう返しますか」というやり取りは結局別のチャットツールに逃げ、判断の経緯が顧客対応の履歴から切り離されます。
- 既読が対応済みを意味しない:誰かが読んだチャットが流れていき、返信されたかどうかは開いてみないと分かりません。
4つのうち、2番目はチャットProオプションで解けます。一方で1番目・3番目・4番目は、LINEの中に機能を足しても解けません。メールやフォームから届く連絡はLINEの管理画面に現れず、社内の相談は別のチャットツールに残り、「誰が読んだか」と「誰が返したか」はチャットリストの絞り込みだけでは追い切れないためです。つまり判断の分かれ目は、困っているのがLINEの中の上限なのか、チャネルをまたいだ状態共有なのかです。前者ならチャットProオプション、後者なら集約先を別に用意することになります。
後者の場合に必要なのは設定を足すことではなく、チャネルをまたいで対応状況を1か所に集める仕組みです。
主な参考情報
- LINEヤフー for Business「LINE公式アカウント 権限設定マニュアル」
- LINEヤフー for Business「LINE公式アカウント チャット設定マニュアル」
- LINEヤフー for Business「各機能の作成上限数」
- LINEヤフー for Business「【LINEチャット】チャットルームごとに担当者の設定が可能に」
- LINEヤフー for Business「LINE公式アカウントの料金プラン」
- LINEヤフー for Business「「LINE公式アカウント」の有料オプションに生成AIを活用した新機能「AIチャットボット(β)」を追加」(チャットProオプションの月額)
- 個人情報保護委員会「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)」
LINE公式アカウントの複数人運用に関するよくある質問
Q. LINE公式アカウントは何人まで一緒に使えますか?
A. 権限設定マニュアルでは、権限の種類を問わず1アカウントに対して100人までメンバーを登録できるとされています。また1人のユーザーが管理できるアカウントは100個までです。
Q. スタッフ全員に管理者権限を渡してよいですか?
A. 管理者はメンバーの追加や権限の変更を含むすべての機能を使えるため、現場スタッフには「運用担当者」を割り当てるのが基本です。一方で管理者が1人だけだと、不在時にメンバーの追加・削除ができません。複数名を管理者にしておく運用が現実的です。
Q. メンバー追加の認証URLが使えないと言われました。
A. 認証用URLは発行から24時間で失効し、1回の発行につき1人のみ有効で使い回しはできません。期限切れであれば管理者が再発行します。あわせて、追加される側もLINEログインのためのメールアドレス設定が必要です。
Q. 複数人で対応すると二重返信が起きます。防ぐ方法はありますか?
A. チャット画面には、別のユーザーが入力中であることと入力しているユーザー名が表示されます。これに担当者設定と「要対応」「対応済み」ステータスを組み合わせます。ただし担当者が未設定だと最初に送信したメンバーが担当者になるため、どちらの運用にするかをチームで統一しておく必要があります。
Q. 退職したスタッフの権限はどう外しますか?
A. 管理者権限でログインし、「設定」>「権限管理」のメンバーリストから権限の変更・削除を行います。ビジネスIDは個人のLINEアカウント連携でも会社のメールアドレスでも作成できるため、メールアドレスで作成したビジネスIDに統一しておくと棚卸しが容易です。個人情報保護法第23条・第24条の観点からも、退職時の権限削除は手続きに組み込んでおきます。
RenRakuで、LINEとメールの問い合わせをチームで共有する
権限と担当者設定を整えても、メールの問い合わせは別の画面に残ります。RenRakuは、LINE公式アカウントとメールの問い合わせを1画面に集約し、「この顧客、今どういう状況?」を聞かなくても全員が分かる状態を作るチーム共有型の顧客対応SaaSです。カラータグと未返信ステータスで未対応の会話が一覧で分かり、顧客カードには履歴・メモ・お客様情報が集約されます。複数人で分担する場合に効くルーム振り分け・担当アサイン・引き継ぎメモ・タスク管理・多段階チェックはスタンダード以上の機能で、入力フォームの作成とLINE・メールアカウントの追加はプレミアムの機能です。料金と人数は、ライト1,480円(ユーザーを追加できないため1名専用)、スタンダード2,980円(3名まで)、プレミアム4,980円(10名まで)で、いずれも月額・税抜です。スタンダード以上は1名につき月額500円(税抜)でユーザーを追加できるため、チームで使うならスタンダード以上が前提になります。
問い合わせ対応の「今どうなっている?」をなくす
RenRakuは、LINE・メールの問い合わせを1画面に集約し、対応状況をチームで共有します。未返信ステータスとカラータグで抜けを可視化し、ルーム振り分けで担当を分けられます(ルーム振り分けはスタンダード以上)。14日間無料・クレジットカード不要でお試しいただけます。
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まとめ
複数人運用で人数や端末が壁になることは、ほとんどありません。権限の種類を問わず1アカウントに100人まで登録でき、複数端末からの同時ログインも公式に想定されています。
設計の軸は権限です。4種類から、メンバー管理を任せる範囲と配信・分析を見せる範囲を切り分けます。管理者は1人に絞らず、外部に渡す場合は権限区分で範囲を限定します。
招待でつまずくのは、ほぼ認証URLの仕様です。発行から24時間で失効し、1回につき1人しか使えず、相手側もLINEログイン用のメールアドレス設定が必要です。
担当分けでは、担当者が未設定なら最初に返信した人が担当者になる挙動を全員が知っていることが前提です。そのうえで「要対応」「対応済み」を押す基準と、無料の範囲では最大5種類しか作れないタグの語彙を決めれば、返信漏れと二重返信はかなり減らせます。LINEとメールに分かれた問い合わせを1か所で追いたい段階になったら、RenRakuをご検討ください。
※ 本記事はLINEヤフー株式会社が公開するマニュアル・お知らせ・学習コンテンツおよび個人情報保護委員会の公表資料をもとに、2026年8月時点の情報で作成しています。仕様や上限値は変更される場合があるため、設定前に公式マニュアルで最新の内容をご確認ください。法令の適用について個別の判断が必要な場合は、専門家にご相談ください。