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士業事務所でもノーコード自動化が広がり始めている

近年、業種を問わず業務のデジタル化が進み、ノーコード自動化ツールへの関心も高まっています。ZapierやMake(旧Integromat)は、プログラミングの知識がなくても複数のWebサービスを連携させ、定型業務を自動化できるiPaaS(Integration Platform as a Service)です。中小企業庁の「2025年版中小企業白書」でも、中小企業のデジタル化は進展傾向にあり、「紙や口頭が中心」と回答する事業者の割合は前年調査から減少傾向にあると報告されています(ただし2023年・2024年調査は母集団が異なるため単純比較には留意が必要)(中小企業庁 2025年版中小企業白書 第5節)。

士業事務所でも、問い合わせメールの自動転記、期限のリマインド通知、書類提出完了のチャット通知といった「毎回同じ手順で行う業務」は、ノーコード自動化の対象になりやすい業務です。本記事では、ZapierとMakeの違い、士業事務所で自動化できる業務の具体例、導入の4ステップを実務目線で解説します。

ノーコード自動化(iPaaS)とは — RPAとの違い

ノーコード自動化ツール(iPaaS)は、クラウド上のWebサービス同士をAPIで接続し、「トリガー(起動条件)→ アクション(実行処理)」のワークフローを構築するサービスです。たとえば「Googleフォームに回答が送信されたら → Googleスプレッドシートに記録し → Slackに通知する」といった処理を、画面上のドラッグ&ドロップで設定できます。

RPAとの違いは、操作の対象です。RPAはデスクトップアプリやブラウザの画面操作を自動化するのに対し、iPaaSはクラウドサービス間のデータ連携を自動化します。士業事務所ではRPAが電子申請の入力自動化などに使われますが、iPaaSはサービス間の「橋渡し」に強みがあります。士業事務所のRPA導入・ノーコード自動化ガイドでRPAの詳細を解説していますので、用途に応じて使い分けを検討してください。

比較項目ノーコード自動化(iPaaS)RPA
操作対象クラウドサービスのAPI画面操作(デスクトップ/ブラウザ)
代表ツールZapier、Make、BizteX ConnectPower Automate、WinActor、BizRobo!
初期費用無料プランあり数万円〜(月額ライセンス)
得意な処理サービス間のデータ連携・通知定型的な画面入力・データ転記
保守の手間API変更時に修正が必要画面レイアウト変更で動かなくなるリスク

士業事務所でノーコード自動化できる業務5選

問い合わせフォーム → CRM・スプレッドシートに自動記録 顧客管理

Webサイトの問い合わせフォーム(Googleフォーム、Typeform等)に新規回答が入ったら、自動でGoogleスプレッドシートやkintoneに行を追加し、同時にSlackやChatworkに通知を送るワークフローです。手動でのコピペや転記が不要になり、対応漏れも防げます。

カレンダー予定 → リマインド通知を自動配信 期限管理

Googleカレンダーに登録した面談予定や申請期限の前日に、Slackやメールでリマインドを自動送信します。特に行政書士事務所では許認可の更新期限管理に有効で、カレンダーに登録するだけでリマインドまで完結する仕組みが作れます。

書類提出完了 → チャットに自動通知 書類回収

クラウドストレージ(Google Drive、Dropbox等)の特定フォルダにファイルがアップロードされたら、担当者にチャット通知を送るワークフローです。書類回収SaaS Docly と組み合わせれば、顧客が書類をアップロードした時点で担当者に通知が届き、催促や確認の手間を大幅に減らせます。

メール受信 → タスク管理ツールに自動登録 タスク管理

特定の件名パターンのメールを受信したら、Notion・Todoist・Asana等のタスク管理ツールに自動でタスクを作成します。クライアントからの依頼メールをそのままタスク化できるため、受信メールの確認・手動登録という二重作業がなくなります。タスク管理ツールの比較も参考にしてください。

定型レポート → 自動生成・配信 レポート

スプレッドシートの月次データを自動集計し、PDFやスライドに変換してメールで配信するワークフローです。税理士事務所の月次報告書や社労士事務所の勤怠集計レポートなど、毎月同じ形式で作成する資料の自動化に向いています。

Zapier vs Make — 料金・機能比較で選ぶ

ZapierとMakeはどちらもノーコード自動化の代表的なツールですが、料金体系と設計思想に違いがあります。以下の比較表で、士業事務所にとって重要なポイントを整理します。

比較項目ZapierMake
無料プラン100タスク/月、2ステップ・5Zapまで(無料登録時は14日間の有料機能トライアルあり)1,000クレジット/月〜
有料プラン(年額)Professional: $19.99/月〜(750タスク)Core: $9/月〜(10,000クレジット)
連携アプリ数8,000以上3,000以上
ワークフロー設計リスト形式(直線的で分かりやすい)ビジュアルエディタ(分岐・ループが組みやすい)
日本語対応UIは英語(操作はアイコンベースで直感的)UIは英語(日本語解説記事は豊富)
セキュリティ認証SOC 2 Type IISOC 2 Type II、GDPR準拠
向いている用途多数のSaaSを簡単に連携複雑な条件分岐を低コストで構築

※ 料金は2026年4月時点、年額払いの場合。最新情報は各公式サイト(Zapier PricingMake Pricing)でご確認ください。

コスト面ではMakeが有利です。無料プランのクレジット数(処理可能回数)はMakeの方が多く、有料プランも同程度の処理量で比較するとZapierより低コストになりやすい傾向があります。一方、Zapierは連携アプリ数が多く、幅広いSaaSに対応しています。事務所で実際に使うアプリが両方のツールに対応しているかは、必ず各サービスの公式連携一覧(Zapier App DirectoryMake Integrations)で確認したうえで、まず無料プランで検証するのが現実的です。

ノーコード自動化を導入する4ステップ

  • 01
    アカウント作成と連携アプリの確認 ZapierまたはMakeの無料アカウントを作成し、事務所で使っているサービス(Gmail、Googleカレンダー、Chatwork、kintone等)が連携アプリ一覧に含まれているかを確認します。この段階で「つなぎたいアプリが対応していない」と分かれば、もう一方のツールを検討できます。
  • 02
    トリガーとアクションを設定する 自動化したい業務を「○○が起きたら → △△を実行する」の形式で整理します。Zapierでは「Zap」、Makeでは「シナリオ」と呼ばれるワークフローを作成し、トリガー(起動条件)とアクション(実行処理)を画面上で設定します。最初は「フォーム送信 → スプレッドシート記録 → チャット通知」のようなシンプルな3ステップから始めるのがおすすめです。
  • 03
    テスト実行で動作を確認する 設定したワークフローをテストモードで実行し、データが正しく連携されるかを確認します。テスト時のチェックポイントは「通知先が正しいか」「データの形式が崩れていないか」「エラー時の挙動はどうなるか」の3点です。本番運用前にテストを怠ると、顧客情報の誤送信につながるリスクがあります。
  • 04
    本番運用と定期メンテナンス テストが問題なければワークフローを有効化し、本番運用を開始します。月1回程度、実行ログを確認してエラーが発生していないかをチェックしましょう。連携先のサービスがアップデートされるとワークフローが動かなくなることがあるため、定期的な動作確認が欠かせません。

導入時のセキュリティと注意点

ノーコード自動化ツールは便利ですが、士業事務所が扱う顧客情報の性質上、セキュリティ面での配慮は欠かせません。以下の3点を運用ルールとして定めておくことを推奨します。

  • 連携アカウントの権限を最小限にする
    自動化ワークフローに接続するアカウントには、必要最低限の権限(読み取り専用、特定フォルダのみ等)を付与します。管理者アカウントでの接続は避けてください。
  • 無料プランの制約を理解する
    Zapierの無料プランは2ステップ・100タスクに制限されます。制限を超えると処理が止まるため、業務に支障が出ないよう処理量を事前に見積もりましょう。士業事務所の書類業務ノーコード自動化ガイドも併せて確認してください。
  • 障害時の代替手段を決めておく
    クラウドサービスである以上、障害で自動化が一時的に止まる可能性があります。「通知が来なかった場合は手動で○○を確認する」といった代替手順を事前に決めておくと、業務への影響を最小限に抑えられます。

ノーコード自動化に関するよくある質問

Q. ZapierとMake、士業事務所にはどちらが向いていますか?

連携したいアプリの数や種類で判断するのが実用的です。Zapierは連携対象アプリが8,000以上と圧倒的に多く、国内外のSaaSを幅広くつなぎたい場合に適しています。Makeはビジュアルエディタで複雑な分岐処理を組みやすく、1つのワークフロー内で条件分岐やデータ変換を多用する場合にコストパフォーマンスが高くなります。まずは両方の無料プランを試して、実際に使うアプリが対応しているか確認することをおすすめします。

Q. ノーコード自動化ツールに顧客情報を扱わせてセキュリティは大丈夫ですか?

ZapierはSOC 2 Type II認証を取得しており、MakeもSOC 2 Type IIおよびGDPR準拠を公表しています。ただし、ツール側のセキュリティと事務所側の運用は別問題です。連携アカウントの権限を最小限に設定する、不要になったワークフローは無効化する、定期的に接続先の棚卸しを行うといった運用面の対策が不可欠です。

Q. 無料プランだけで実用的な自動化はできますか?

小規模な事務所であれば一定の範囲で活用可能です。Zapierの無料プランは月100タスク・2ステップ・5Zapまでに制限されますが、問い合わせフォームからの通知転送など単純な連携には十分です。Makeの無料プランは月1,000クレジットから利用でき、やや複雑な処理にも対応できます。自動化の対象業務が増えた段階で有料プランへの移行を検討するとよいでしょう。

まとめ — ノーコード自動化ツールの選び方と導入の要点

ポイント内容
ノーコード自動化とはクラウドサービス間のデータ連携を、プログラミングなしで構築できるiPaaSの仕組み
RPAとの違いiPaaSはAPI連携、RPAは画面操作の自動化。用途に応じて使い分ける
自動化できる業務例フォーム→CRM記録、カレンダー→リマインド、書類提出→通知、メール→タスク登録
Zapierの強み連携アプリ8,000以上、直感的なUI、幅広いSaaSカバレッジ
Makeの強み低コスト(無料1,000クレジット)、複雑な分岐処理に対応
導入のコツ無料プランで検証→シンプルな3ステップから開始→月次で実行ログを確認

Doclyでノーコード自動化と書類回収を一元化する

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※ 本記事の情報は2026年4月時点の内容です。Zapier と Make の料金、無料枠、対象機能、実行上限は改定されることがあります。また、Zapier は主に task、Make は credit(operation)単位で課金の考え方が異なるため、月額だけで単純比較できない場合があります。導入判断の際は、必ず各公式サイトの最新情報をご確認ください。
※ 本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の製品・サービスの導入を推奨するものではありません。

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