中古品売買の拡大で、古物商許可のニーズは継続している
中古品売買・リユース市場の拡大、フリマアプリや EC モールでの個人取引から本格的なビジネスへの移行など、古物商許可のニーズは継続しています。行政書士にとっては比較的取り組みやすい業務で、個人事業主・小規模事業者の開業支援や、法人設立とセットで受任できる点が魅力です。
本記事では、古物営業法の枠組み、申請手数料 19,000 円・標準処理期間 40 日の前提、13 品目の選び方、欠格事由の事前確認、URL 届出の留意点、警察への事前相談の進め方を実務目線で整理します。行政書士の報酬設定の考え方、行政書士の業際境界線もあわせてご覧ください。
古物営業法の枠組みと申請の基本
古物商許可は古物営業法第 3 条に基づく許可で、管轄は営業所所在地を管轄する警察署(公安委員会)です。古物営業を反復継続して行う場合に必要となり、無許可営業は古物営業法第 31 条により 3 年以下の懲役または 100 万円以下の罰金の対象となります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 許可主体 | 営業所所在地を管轄する都道府県公安委員会(実際の窓口は所轄警察署の生活安全課保安係。所轄署により防犯係・少年係等の名称差あり) |
| 申請手数料 | 19,000 円(全国一律。納付方法は都道府県により証紙・収入証紙・現金・キャッシュレス等が異なる) |
| 標準処理期間 | 40 日(土日祝・補正期間を除く。所轄署の混雑状況で前後) |
| 有効期間 | 更新不要(変更事項都度の届出が必要) |
| 許可番号 | 都道府県公安委員会から12桁の許可番号が付与される |
取扱う古物の13品目と選び方
古物営業法施行規則により、古物は13 品目に区分されています。申請時に主として取り扱う品目を指定し、複数選択も可能です。実際に取り扱わない品目を選んでも違反ではありませんが、警察の検査時に営業実態との齟齬が問題となる場合があります。
- 美術品類(書画・彫刻・工芸品など)
- 衣類(和服・洋服・帽子・靴など)
- 時計・宝飾品類
- 自動車(部分品を含む)
- 自動二輪車・原動機付自転車(部分品を含む)
- 自転車類(部分品を含む)
- 写真機類(カメラ・レンズ・光学機械など)
- 事務機器類(パソコン・コピー機・ファクシミリなど)
- 機械工具類(工作機械・電気機械・電動工具など)
- 道具類(家具・じゅう器・運動用具・楽器・玩具・CD/DVD/ゲームソフトなど)
- 皮革・ゴム製品類(カバン・ハンドバッグ・靴・毛皮など)
- 書籍
- 金券類(商品券・乗車券・郵便切手・収入印紙など)
取扱品目によって、本人確認、帳簿記載、盗品等に関する照会対応など、実務上注意すべきポイントが異なります。事業計画に沿って「主たる品目 1〜2 種+関連品目」程度に絞ると、営業実態と整合させやすくなります。
古物商許可申請の必要書類
- ✓許可申請書(別記様式第1号その1〜4)
各都道府県警察・公安委員会の様式。主たる営業所、他の営業所、行商の有無、URL の届出有無を記載 - ✓住民票(本籍記載あり、マイナンバー記載なし)
個人申請は本人、法人申請は役員全員+管理者全員分。発行から 3 か月以内が原則 - ✓身分証明書
本籍地の市区町村で取得(成年被後見人・被保佐人でない、破産手続開始決定を受けていない証明)。発行から 3 か月以内 - ✓誓約書
欠格事由(古物営業法第 4 条各号)に該当しない旨の誓約。個人申請は本人、法人は役員+管理者ごとに作成 - ✓略歴書
過去 5 年間の略歴(職歴・住所変遷)。本人・役員・管理者ごとに作成 - ✓URL 使用権原疎明資料
ネット販売を行う場合。ドメイン登録情報(whois)、ドメイン取得時の契約書・登録完了メール、レジストラの管理画面スクリーンショット、または EC モール(Amazon・楽天・ヤフオク等)からの出店許可通知のコピー。近年は個人情報保護のため whois 代行登録が一般化しており、whois 情報のみでは不十分なケースが多いため複数資料の併用を準備 - ✓法人登記事項証明書(履歴事項全部証明書)
法人申請の場合。発行から 3 か月以内 - ✓定款(法人のみ)
古物営業が事業目的に含まれているか確認。含まれていない場合は変更登記が前置 - ✓営業所の使用権原疎明資料(所轄署により求められる場合あり)
賃貸なら賃貸借契約書の写し(事業利用可の記載)または所有者の使用承諾書、自宅兼用なら平面図と使用範囲の説明を求められることがあります。 - ✓営業所の所在地略図(所轄署により求められる場合あり)
最寄り駅・周辺道路・建物配置がわかる図面を求められることがあります。
欠格事由(古物営業法第4条)の事前確認
古物営業法第 4 条は欠格事由を明確に規定しており、該当すると許可を受けられません。受任前に必ず確認します。
- ①犯罪歴の確認(古物営業法第 4 条第 2 号)① 禁錮以上の刑に処せられた者、または ② 古物営業法第 31 条に規定する罪若しくは刑法第 235 条(窃盗)・第 247 条(背任)・第 254 条(遺失物等横領)・第 256 条第 2 項(盗品等関係罪)を犯して罰金の刑に処せられた者で、執行終了等から 5 年を経過していない者。特定罪については「罰金以上」ではなく「罰金の刑」が要件です。
- ②心身の故障により業務を適正に行えない者でないこと(古物営業法第 4 条第 8 号)令和元年 12 月 14 日施行の改正により、成年被後見人・被保佐人であること自体は一律の欠格事由ではなくなりました。精神機能の障害により、業務遂行に必要な認知・判断・意思疎通を適切に行えない者かを個別に確認します。身分証明書(本籍地市区町村発行)で成年被後見人・被保佐人でない旨を確認するのが実務上の運用。
- ③住居が定まらない者でないこと住民票で確認。住所が安定していない場合は受任を見送る判断。
- ④暴力団員等でないこと5 年以内に暴力団員であった者、暴力団員等が事業活動を支配する者も含む。
- ⑤営業所に管理者を置けること営業所ごとに古物の管理責任者を 1 名配置します。管理者は、原則として各営業所に常勤し、欠格事由に該当せず、業務を実質的に管理できる者である必要があります。複数営業所が近接し、双方を実質的に統括管理できる場合などは兼任が許容される余地もあるため、所轄警察署に確認します。
- ⑥破産手続開始決定を受けて復権を得ない者でないこと身分証明書で確認。
- ⑦未成年者でないこと(営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者は欠格/古物営業法第 4 条第 9 号)未成年者から受任する場合は親権者の同意の有無・営業許可の有無を確認します。
- ⑧許可取得後 6 か月以内の営業開始義務(古物営業法第 6 条第 3 号)許可取得後 6 か月以内に営業を開始しない、または 6 か月以上営業を休止して再開の見込みがない場合は許可取消事由となります。許可取得後のスケジュール管理も受任時の助言事項です。
警察への事前相談の進め方
古物商許可は、管轄警察署の生活安全課(少年係・防犯係など名称は所轄署で異なる)が窓口です。書類提出前の事前相談が重要で、必要書類・営業所の確認・URL 届出の様式など、所轄署ごとに細かい運用差があります。
- アポイント取得 — 生活安全課に電話して「古物商許可の相談をしたい」旨を伝え、来署日時を予約。担当者によって対応日が決まっているケースも多い
- 初回相談の持参資料 — 営業所所在地のメモ、事業計画の概要、取扱予定品目、URL(ネット販売の場合)。本書類は不要だが整理されていると話が早い
- 営業所の確認 — 専用スペースの有無、看板表示の可能性、自宅兼用時の生活スペースとの区分を整理。所轄署によっては申請後に警察官が現地確認を行うケースがあるため、営業所の実態を整えてから申請する
- 提出前の最終確認 — 書類一式を揃えた段階で再度生活安全課を訪問。記載漏れ・誤字を窓口でチェックしてもらうと補正リスクを下げられる
ネット販売時のURL届出と運用
インターネットで古物売買を行う場合、古物営業法第 5 条第 1 項第 6 号に基づき、使用する URL の届出が必要です。自社サイト・EC モール(Amazon・楽天・ヤフオク等)の店舗ページで古物の売買・交換等の申込み誘引を行う場合は届出対象となります。一方、単なる会社概要ページなど、古物取引の申込み誘引を行わないページは対象外となる場合があるため、所轄警察署に確認します。
- 自社ドメイン — whois 情報の写しを疎明資料として提出
- EC モール出店 — モール運営者からの出店許可通知のコピー、店舗 URL を疎明資料として提出
- サイト上の表示義務(古物営業法第 12 条第 2 項・施行規則第 13 条の 2) — インターネット取引を行う場合は、①氏名又は名称(法人の場合は法人名)、②許可をした公安委員会の名称、③許可証の番号(12 桁)の 3 項目を、消費者の目につきやすい箇所に明瞭に掲載する義務。「代表者氏名」は法令上の表示事項に含まれないため過剰表示に注意。通信販売に該当する場合は別途、特定商取引法上の表示義務も確認
- 許可取得後の URL 追加・変更 — 変更が生じた日から 14 日以内に変更届出が必要(登記事項証明書を添付すべき変更を伴う場合は 20 日以内)。届出を怠ると 10 万円以下の罰金(古物営業法第 35 条第 2 号)の対象となり得る。新たな URL での販売開始前に届出を完了させる
主な根拠法令・一次ソース
- 古物営業法(e-Gov法令検索) — 第 3 条(許可)、第 4 条(欠格事由)、第 5 条(URL届出)、第 31 条(罰則)
- 警察庁「古物営業法」 — 制度全般
古物商許可申請に関するよくある質問
Q. インターネットで古物売買する場合、サイト上に何を表示すべきですか?
A. 古物営業法第 12 条第 2 項により、①氏名又は名称(法人の場合は法人名)、②許可をした公安委員会の名称、③許可証の番号(12 桁)の 3 項目を、サイト上の見やすい場所に明瞭に掲載します。「代表者氏名」は法令上の表示事項に含まれません。通信販売に該当する場合は別途、特定商取引法上の表示義務も確認します。
Q. 古物商許可の処理期間と手数料はどれくらいですか?
A. 書類提出から許可まで標準処理期間 40 日が目安で、所轄署の混雑状況により前後します。申請手数料は 19,000 円(各都道府県の運用に従い証紙等で納付)です。新規許可後の更新は不要ですが、変更届出は事項都度必要です。
Q. 個人申請と法人申請で何が違いますか?
A. 個人申請は本人と営業所の管理者が同一でも可(要件を満たせば)ですが、法人申請では役員全員と管理者全員の書類(住民票・身分証明書・誓約書・略歴書)が必要です。法人定款の事業目的に古物営業が含まれていない場合は、申請前に目的変更登記を行います。
Q. 古物営業の品目はいくつ選べますか?
A. 全 13 品目から複数選択可能です。ただし取り扱わない品目を選ぶと営業実態との齟齬が出るため、事業計画に合わせて主たる品目 1〜2 種+関連品目程度に絞るのが安全です。後から追加する場合は変更届出が必要です。
Q. 自宅を営業所にできますか?
A. 可能ですが、賃貸物件の場合は賃貸借契約書に事業利用可の記載があるか、所有者からの使用承諾書が必要です。マンションの管理規約で店舗利用が禁止されている場合は別途確認が必要。事前相談時に営業所の使用権原疎明資料を持参して警察に確認するのが確実です。
Q. 無許可営業のリスクは?
A. 古物営業法第 31 条により、無許可営業は 3 年以下の懲役または 100 万円以下の罰金の罰則対象です。あわせて行為者だけでなく法人にも罰金が科される両罰規定があります。フリマアプリでの個人売買から本格的なビジネスに移行する段階で許可取得が必要となるため、依頼者の事業状況を丁寧にヒアリングします。
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