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建設業許可の書類は、漏れひとつで補正が発生する

建設業許可申請は、行政書士業務のうち書類点数が多い領域の一つです。知事許可か大臣許可か、新規か更新か、一般か特定か——条件によって必要書類が変わるため、受任時の書類案内を整理しておくと補正の発生を抑えやすくなります。

この記事では、案件発生時にすぐ使えるチェックリストを、申請類型別・要件別に整理しました。受任時の資料案内にそのまま流用できる構成です。

法人の新規許可で確認する主な共通書類

以下は法人の新規申請で主に必要となる共通書類のうち、行政書士の受任時にチェックする頻度が高いものです。実際の必要書類は申請類型(新規/更新/業種追加)・申請先(知事/大臣)で異なるため、国土交通省「建設産業・不動産業:許可申請の手続き」および所管行政庁の最新の手引を必ず確認してください。

  • 建設業許可申請書(様式第1号)
    正本・副本。令和6年12月13日施行の改正様式に対応した最新版を使用
  • 役員等の一覧表(様式第1号別紙1)
    法人の場合は役員全員分
  • 営業所一覧表(様式第1号別紙2)
    各営業所の名称・所在地・許可業種・営業所技術者等の氏名等を記載
  • 営業所技術者等(専任技術者)一覧表
    営業所ごとの営業所技術者等を記載
  • 誓約書(様式第6号)
    申請者・役員等・令3条使用人が建設業法第8条各号の欠格要件に該当しないことを誓約
  • 許可申請者の住所、生年月日等に関する調書(様式第12号)
    役員等・令3条使用人ごとに作成
  • 登記されていないことの証明書
    役員等・令3条使用人について法務局で取得(成年被後見人・被保佐人でないことの証明)。発行から3か月以内が原則(所管行政庁の手引で確認)
  • 身分証明書
    役員等・令3条使用人について本籍地市区町村が発行(破産手続開始決定・後見の登記等の通知を受けていないことの証明)。発行から3か月以内が原則
  • 登記事項証明書(履歴事項全部証明書)
    発行から3か月以内が原則(所管行政庁の手引で確認)
  • 定款(法人のみ)
    事業目的に申請業務と整合する建設業関連の記載があるか確認(目的文言が業種名と完全一致しない場合は事前に所管行政庁へ相談)
  • 財務諸表(様式第15〜17号の3)
    直前1期分を建設業法所定の様式に組み替えて作成。法人は貸借対照表・損益計算書・完成工事原価報告書・株主資本等変動計算書・注記表、個人は貸借対照表・損益計算書
  • 株主(出資者)調書(様式第14号)
    法人のみ。出資比率5%以上の株主・出資者を記載
  • 営業の沿革(様式第20号)
    創業以来の組織変更・商号変更等の沿革、建設業の登録・許可状況、過去5年以内の建設業に関する賞罰
  • 工事経歴書(様式第2号)/直前3年の各事業年度における工事施工金額(様式第3号)
    業種ごとに作成
  • 使用人数(様式第4号)・略歴書(様式第12号系列)・主要取引金融機関名(様式第20号の2)
    所管行政庁の手引に従って整備
  • 健康保険等の加入状況(様式第7号の3)+加入を証する書面
    令和2年10月改正で適切な社会保険への加入が許可要件化(健康保険・厚生年金・雇用保険)
  • 納税証明書
    知事許可は事業税の納税証明書、大臣許可は法人税の納税証明書(直前1期分)

常勤役員等(経営業務の管理責任者等)の証明書類

常勤役員等(いわゆる経営業務管理責任者・経管)の要件を満たすことを示す書類は、建設業許可の最重要論点のひとつです。令和2年10月の建設業法施行規則改正により、第7条第1号イ(個人要件)・ロ(体制要件)の枠組みに整理されています。

要件パターン(規則第7条第1号)証明書類注意点
イ(1) 建設業に関し5年以上の経営業務管理責任者としての経験登記事項証明書+工事実績資料(契約書・注文書)役員期間と工事期間を重ね合わせて証明
イ(2) 建設業に関し5年以上、経営業務管理責任者に準ずる地位(権限委任を受けた執行役員等)として経営業務を管理した経験取締役会議事録・社内辞令・組織図・職務権限規程権限委譲の範囲・期間が論点
イ(3) 建設業に関し6年以上、経営業務管理責任者を補佐する業務に従事した経験補佐者としての地位を示す辞令等・組織図対象業務の範囲確認
ロ 常勤役員等(建設業役員2年以上含む役員等経験5年以上等)+直接補佐者(財務管理・労務管理・業務運営の業務経験各5年以上)を置く体制役員等就任を示す登記事項証明書+補佐者の業務経験を示す資料令和2年10月改正で新設された体制要件

令和6年12月13日施行の改正により、法令上の正式名称は「常勤役員等(経営業務の管理責任者等)」に変更されています。実務上は従来の「経管」呼称も通用しますが、提出様式は最新版を使用してください。

営業所技術者等(専任技術者)の証明書類

令和6年12月13日施行の改正により、法令上の正式名称は「営業所技術者等」に変更されています(実務上は「専任技術者」も通用)。営業所ごとに、許可業種に応じた資格・実務経験を有する者を専任で置く必要があります。

区分必要書類備考
国家資格保有資格証明書のコピー業種と資格の対応要確認
実務経験10年以上工事実績資料(注文書・契約書・請書)実際に携わった工事の立証
指定学科卒+実務経験(大学・高専・短大卒は3年、高校・中等教育学校卒は5年)卒業証明書+工事実績指定学科の該当性確認
技術検定合格+実務経験(令和5年7月施行:1級1次検定合格者は合格後3年、2級1次検定合格者は合格後5年)技術検定合格証明書+実務経験証明書指定建設業・電気通信工事業は対象外。技士補(1次検定合格者)の活用が可能に

財産的基礎要件の証明

一般建設業

次のいずれかに該当することを確認します。
① 直前決算で自己資本500万円以上
② 500万円以上の資金調達能力(取引金融機関の残高証明書・融資証明書等で立証。証明日は申請日から1か月以内が運用上の原則)
③ 許可申請直前の過去5年間、建設業許可を受けて継続して営業した実績(主に更新・業種追加時の確認要件)

特定建設業

申請直前の財務諸表で次の全てを満たすことが必要です。
① 欠損の額が資本金の20%以下
② 流動比率75%以上
③ 資本金2,000万円以上
④ 自己資本4,000万円以上
特定建設業は更新時にも全要件の充足が必要なため、決算書の事前精査が必須です。

受任から申請までの実務フロー

建設業許可は初回ヒアリング時の見積書設計・受任範囲の明確化が後工程の補正リスクを左右します。あわせて、相続関連書類など他士業の独占業務に触れない範囲で受任することも重要です。実務面は行政書士の見積書作成と相場感の伝え方、業務範囲は行政書士の業際境界線もあわせてご確認ください。

  • Step1
    初回ヒアリング許可区分・業種・営業所の確認。申請類型を確定させる。
  • Step2
    必要書類リストの送付顧客に本記事のようなチェックリストを送付し、どこまで揃うかを確認。
  • Step3
    書類回収と内容精査回収した書類の整合性チェック。不足・不備を特定して追加依頼。
  • Step4
    申請書作成と事前確認作成した申請書を顧客確認後、所管行政庁に事前相談。
  • Step5
    申請と補正対応申請後、補正連絡があれば速やかに対応。

建設業許可の書類に関するよくある質問

Q. 建設業許可申請の準備にはどれくらいかかりますか?

A. 書類収集と作成を含む総工程として、新規で2〜3か月、更新で1〜2か月が一般的な目安です。標準処理期間(行政庁での審査期間)は知事許可で概ね30日(一部都道府県では45日)、大臣許可は約120日(4か月)と国土交通省で示されています。顧客側の体制、過去資料の整理状況、常勤役員等・営業所技術者等の証明資料の有無により大きく変動します。

Q. 知事許可と大臣許可の違いは?

A. 営業所が1つの都道府県内のみにある場合は知事許可、2以上の都道府県にまたがる場合は大臣許可です。営業できる工事の範囲には差はありません。営業所追加で大臣許可への切替が必要になるケースが多く、移行のタイミングが重要な論点です。

Q. 営業所技術者等(専任技術者)の実務経験は何で証明しますか?

A. 過去に従事した建設工事の注文書・契約書・請書・工事台帳などで立証します。発注者証明書・元請からの工事証明書、税務申告書(個人事業主の場合)も補完資料として認められる場合があります。所管行政庁ごとに認められる証明書類の範囲が異なるため、事前相談が確実です。

Q. 常勤役員等(経管)の経験を証明する工事実績資料がない場合は?

A. 代替手段として、元請企業からの工事証明書、工事台帳、税務申告書等で立証できる場合があります。所管行政庁との事前相談が必要です。

Q. 許可後の変更届はどれくらいの頻度ですか?

A. 役員変更・営業所追加・営業所技術者等の変更等の都度、変更届の提出期限(概ね30日以内)があります。あわせて、決算終了後4か月以内の事業年度終了届出書(決算変更届)も毎年必要です。

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※ 建設業許可の必要書類・確認資料は、国土交通省「建設産業・不動産業:許可申請の手続き」、各地方整備局・都道府県の建設業許可申請の手引き、所管行政庁の運用により細部が異なります。申請前には必ず最新の手引きと窓口運用を確認してください。

※ 本記事は実務情報の整理を目的としており、個別案件の法的助言ではありません。具体的な判断は所属単位会または所管行政庁にご確認ください。

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