結論:会社員でも副業で行政書士はできる。ただし「条件付き」
結論からお伝えすると、会社員として働きながら副業・兼業で行政書士の業務を行うことは、法律上は可能です。行政書士法には「兼業を禁止する」という規定はなく、本業を持ちながら登録・開業している方も実際にいます。ただし、誰でも無条件にできるわけではありません。大きく分けて「勤め先の就業規則」「公務員かどうか」「事務所と登録の要件」「平日に動けるか」という4つの壁をクリアする必要があります。本記事では、副業・兼業として行政書士を始められる条件と、会社員と両立する際の現実的なポイントを、公式情報に基づいて整理します。
法律上、行政書士の兼業は禁止されていない
行政書士法には、行政書士一般について兼業を一律に禁止する規定はありません。会社員・自営業者・他士業の方が、行政書士として登録して業務を行うこと自体は制度上認められています。実際、税理士や社会保険労務士など他資格と兼業している行政書士も多く存在します。
一方で、行政書士法では、行政書士又は行政書士法人でない者が、他人の依頼を受け、報酬を得て業として所定の業務を行うことを原則として制限しています。官公署へ提出する書類の作成などを報酬を得て業として行うには、行政書士としての登録が前提になります。「資格は持っているが未登録」の状態では、副業として報酬を受け取って書類作成を請け負うことはできません。まずは登録・開業が出発点になります。
最初に確認すべき「就業規則」と「公務員」の壁
法律が許していても、あなた自身の立場が許すとは限りません。副業として始める前に、必ず次の2点を確認してください。
- ✓勤め先の就業規則(副業・兼業の可否)
近年は副業を容認する企業が増えていますが、許可制・届出制としている会社も多くあります。無許可の副業が懲戒対象になるケースもあるため、就業規則を確認し、必要なら事前に会社へ申請・相談しましょう。競業避止義務や情報管理の観点から、業務範囲に条件が付くこともあります。 - ✓公務員は原則できない
国家公務員法第103条・第104条、地方公務員法第38条により、公務員は営利企業の役員兼業や自営、報酬を得ての事業従事が原則制限されます。公務員のまま行政書士として開業・営業することは原則できません。なお、一定年数の行政事務経験により試験を経ずに資格を得られる「特認」制度はありますが、これは資格取得の話であり、在職中に副業として開業できることを意味しません。
このほか、会社の役員(取締役など)や、許認可業種の従業員の場合は、利益相反や信用上の理由で兼業に制約が生じることがあります。立場が微妙な場合は、登録前に都道府県の行政書士会へ相談しておくと安心です。
副業でも避けて通れない「事務所」と「登録」
行政書士として活動するには、行政書士業務を行うための事務所を設け、行政書士会を通じて登録する必要があります。副業であっても、この要件は専業の方と同じです。主な流れは次のとおりです。
- Step1事務所を用意する自宅でも賃貸でも構いませんが、表札(事務所名の掲示)を掲げ、業務上の秘密を守れる独立性が求められます。自宅兼用の場合は生活空間と事務所スペースを明確に分ける必要があり、賃貸では所有者の事務所使用承諾が必要です。公営住宅は原則として事務所利用が認められません。個人開業では事務所は1か所に限られます。
- Step2都道府県の行政書士会へ登録申請開業予定地を管轄する単位会を通じて、日本行政書士会連合会の名簿への登録を申請し、あわせて単位会へ入会します。登録手数料・登録免許税・入会金などの費用がかかります。登録手数料(25,000円)と登録免許税(30,000円)は全国一律ですが、入会金や会費は単位会によって金額が異なります。
- Step3事務所調査・登録・証票交付申請から登録完了までは、単位会と日本行政書士会連合会の審査を経て、おおむね1〜2か月程度が目安です。事務所調査を経て名簿に登録されると、行政書士証票とバッジが交付され、業務を開始できます。所要期間は会や時期により異なるため、登録先の単位会に確認しましょう。
- Step4税務署へ開業届を提出副業であっても事業として継続的に報酬を得る場合は、税務署への開業届の提出が必要です。確定申告も自分で行うことになります。会費は登録後も継続的に発生する固定費である点に注意しましょう。
つまり、副業だからといって「気軽に登録だけ」というわけにはいかず、事務所の確保と継続的な会費負担という現実的なコストが伴います。
最大の壁は「平日に動けるか」という時間の現実
副業行政書士で最も見落とされがちなのが、官公署が平日日中しか開いていないという点です。許認可申請の窓口対応、官公署への提出・照会、依頼者との打ち合わせの多くは平日に発生します。土日や夜間だけで完結させるのは難しい業務が多く、ここが会社員との両立で一番の壁になります。両立を成り立たせるには、次のような工夫が現実的です。
- ✓平日に動ける時間を確保する
有給休暇や中抜け、リモート勤務の制度を活用し、月数回でも平日に動ける枠を作る。電子申請に対応した業務を選ぶと平日対応の負担を減らせます。 - ✓平日対応の比率が低い業務から始める
遺言・相続関係の書類、契約書作成、議事録・社内文書のひな型整備など、依頼者とのやり取りが中心で窓口対応の少ない業務は、副業との相性が比較的よい傾向があります。 - ✓守秘義務・信用失墜行為の禁止を徹底する
行政書士法第12条で守秘義務が定められ、違反には罰則もあります。本業で知り得た情報を副業に流用しない、副業で知り得た秘密を漏らさないなど、情報の切り分けは厳格に。本業の名刺と行政書士の名刺を混同しないことも大切です。 - ✓受任前に対応可能か見極める
納期や面談頻度の都合で対応しきれない案件は、無理に受けず信頼できる行政書士につなぐ判断も必要です。安請け合いはトラブルや信用低下につながります。
副業で続けるなら「集客の仕組み化」が現実解
副業では本業がある分、営業に割ける時間が限られます。交流会や紹介に頼るだけでは、平日の活動量に左右されて案件が安定しません。そこで重要になるのが、自分が動いていない時間にも問い合わせが入る仕組みづくりです。具体的には、扱う業務(相続・許認可・契約書など)を明確に打ち出した事務所サイトを用意し、検索から見つけてもらえる導線を整えること。さらに、夜間や休日でも受けられる問い合わせフォームやオンライン予約、必要書類をやり取りできる回収フォームなどを組み合わせると、平日に動きにくい副業でも機会を逃しにくくなります。限られた時間で成果を出すほど、こうした「仕組みで集客し、効率よくさばく」発想が効いてきます。
主な参考情報
よくある質問
Q. 会社に副業を知られずに行政書士をやってもいいですか?
A. まず就業規則を確認してください。許可制・届出制の会社では、無許可の副業が懲戒の対象になることがあります。行政書士の登録は事務所所在地などが公開され、会への所属も明らかになるため「完全に秘密で続ける」のは現実的ではありません。トラブルを避けるためにも、勤め先のルールに沿って事前に申請・相談することをおすすめします。
Q. 公務員ですが、行政書士として副業できますか?
A. 原則できません。国家公務員法・地方公務員法により、公務員は営利企業の役員兼業や自営、報酬を得ての事業従事が制限されており、在職中に行政書士として開業・営業することは原則認められません。なお、一定の行政事務経験により試験免除で資格を得られる特認制度はありますが、これは資格取得に関する制度で、在職中の副業を認めるものではありません。
Q. 資格は持っています。登録しないまま副業で書類作成を請け負えますか?
A. 行政書士法上の業務として行う場合は、登録しないまま報酬を得て請け負うことは原則できません。官公署へ提出する書類の作成などを、他人の依頼を受け、報酬を得て業として行うには、行政書士としての登録が前提になります。副業として始めるなら、まず都道府県の行政書士会を通じた登録・開業が必要です。
Q. 土日と夜間だけで行政書士の副業はできますか?
A. 業務によります。官公署は平日日中しか稼働しないため、窓口対応や提出が必要な許認可業務を土日・夜間だけで完結させるのは困難です。一方、依頼者とのやり取りが中心の業務や電子申請に対応した業務であれば、平日の対応負担を抑えやすくなります。有給や中抜けで月数回でも平日に動ける時間を確保できると両立しやすくなります。
副業・兼業の行政書士開業を、Webの仕組みで支える
TechSyncは、行政書士をはじめとする士業事務所のWeb制作・システム開発を行っています。限られた時間で集客するための事務所サイト、夜間・休日でも受けられる問い合わせ・予約導線、書類回収フォーム、案件管理の仕組みづくりなど、副業・兼業ならではの「動けない時間にも機会を逃さない」体制づくりをお手伝いします。
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「平日に動きにくいぶん、Webで問い合わせを増やしたい」「予約や書類回収を自動化したい」といったご相談に対応します。事務所サイトの設計から問い合わせ導線・予約・案件管理まで、開業の段階に合わせてご提案します。何度でも無料でご相談いただけます。個別のご相談も可能です。
> TechSyncに相談する※ 本記事は執筆時点の情報をもとにした一般的な情報提供であり、法的助言ではありません。行政書士の登録要件・費用・手続き、就業規則や公務員の兼業に関する取り扱いは変更されることや個別事情により異なることがあります。実際の開業・登録にあたっては、各都道府県の行政書士会・日本行政書士会連合会・勤務先の規程など公式情報で最新の内容を必ずご確認ください。